++Part.2++
オメガについて

++Part.1++  ++Part.3++
 脂肪のサイクル

 
先ずは、摂取された脂肪の行方を追ってみることにしましょう。
   
  ●食物は消化・吸収の過程で、インスリンによって再合成された脂肪は
   副腎皮質ホルモンによって分解され、脂肪酸となります。

     ・インスリンとは、糖尿病にかかわることで有名なホルモンのひとつで
      すい臓のランゲルハンス島という内分泌腺の中のβ(ベータ)細胞から分泌され
      上昇した血糖値を下げる役割があります。。このインスリン分泌に障害が起きると
      血糖値が高い状態に保たれ、糖尿病が発症します。
      (甘いものを食べるとなるのではなく、すい臓が弱っていると考える方が無難です。)

   ★図解1を見る


 脂肪細胞は、血糖値が高いときは有機酸や糖などを原料として脂肪を合成し
   血糖値が低いとき、
副腎皮質ホルモン によって直接・間接的に分解を促進され
   脂肪酸と活性グリセロールになります。


   
脂肪酸は他の組織へ輸送され、エネルギー源として利用されます。
   グリセロールはいったん排泄されますが、脂肪酸が活性グリセロールに結合して
   再び脂肪となり、90% 程度は再吸収され、再利用されます。

   脂肪が太る原因と呼ばれるのは、このリサイクルにあるわけです。

   ★図解2を見る


 脂肪酸の分類

 
食物から摂取された脂肪は、脂肪酸と活性グリセロールに
   分解、活用されることが分かりました。

   ここでは、脂肪酸がどのように分類され、オメガ3・6に位置づけけされるかを
   たどってみます。
   以下の図解をご覧ください。

   ★図解3を見る



  ●脂肪酸は、その性格から 飽和脂肪酸と、不飽和脂肪酸 に分類されています。

   特に不飽和脂肪酸に分類される多価不飽和脂肪酸は、体内合成できないため
   その重要性から<必須脂肪酸>と呼ばれ
   過去には、その重要性からビタミンFとも呼ばれていました。
   
   多種の有用な
生理活性物質 <プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサンなど>
   重要な物質を生み出す
ということが分っています。
   構造上の違いから・・・
    摂取されたリノール酸通称オメガ6)  →  γ-リノレン酸、 アラキドン酸の一部
    摂取されたα-リノレン酸通称オメガ3)  →  EPA、DHA   へと合成され
    これらが『生理活性物質』と、変換されます。


   正式には・・
   オメガ6はn-6系、オメガ3はn-3系と呼び、異なった役割を果たします。


 
 必須脂肪酸と呼ばれる理由

 先の項にも書きましたが、脂肪は体内で分解・合成されエネルギーとして
   利用されるのですが・・
   

 ★必須脂肪酸とは、
   ヒトを含む動物の体内で合成できない『リノール酸・α-リノレン酸』と
   体内合成が可能な『アラキドン酸を指し、これらが多種の有用
   
生理活性物質・・
     プロスタグランジン、ロイコトリエン および トロンボキサンなど
作り出す
     重要な物質を生み出すということが分っています。
  
      摂取されたリノール酸  →→  γ-リノレン酸、 アラキドン酸の一部
      摂取されたα-リノレン酸  →→  EPA、DHA     へと、合成され
      これらが『生理活性物質』と、変換されます。

 ★n-6系とn-3系は、互いに拮抗作用があり
  相互変換が出来ない為、摂取バランスが問題となってきます。


 対症療法が主な現代医学では、ビタミンやミネラルの不足に注意することはあっても
   必須脂肪酸の不足に、さほど関心を寄せられていないのが現実ですが
   現代人の多くの人々が、必須脂肪酸不足になっており
   何らかの病状を感じている人は、必須脂肪酸の不足により
   発病している可能性がある
と言われています。

  ●これは日本人が、動物性のタンパク源を魚類から摂取していた食生活が
   欧米型の肉類に重点を置く食生活に変わってきた事が原因の1つとされています。
   逆に欧米で『日本食』が注目されているのは
   単にカロリーが低く健康的な食事であることだけではないのでしょう。

  ●厚生省の示す『第6次改定 日本人の栄養所容量』では・・・
     1.飽和脂肪酸(S),一価不飽和脂肪酸(M),多価不飽和脂肪酸(P)の
      望ましい摂取割合は、おおむね3:4:3を目安とする。
     2.n-6系多価不飽和脂肪酸とn-3系多価不飽和脂肪酸の比は、
      健康人では4:1程度を目安とする。
      と、されており、その必要性は公的にも認められています。


     但し、予防医学の観点から厚生省の示す栄養所要量を考えた場合
     『クウォリティーライフ』目指すものではなく
     あくまで『病気にならないギリギリのライン』と、位置付けされています。
     厚生省の示す栄養所要量を確実に摂取できていたとしても
     『食べる』という行為と、それが理想的な形で活用されているか・・という個人差は
     埋められるものではありません。

     このギャップを作り出すことの1つが、必須脂肪酸の摂取のアンバランスであり
     また 摂取された脂肪の合成・分解に妨害要素が働き
(++Part.3++参照)
     不都合が生じている=病気の症状が出る とされています。
     このことに関しては、
(さらに・・ややこしくなるので)
     後の項・プロスタグランジンで考察したいと思います。

 必須脂肪酸の不足からくる症状が、非常に広範囲で
    軽症から重症まで幅が広い理由について、以下のことが一般的とされています。。


必須脂肪酸の不足 細胞壁の脂肪酸組成が変化 
                       
                細胞膜の透過性が低下
                       
                細胞内への物質の出入りが出来なくなる。
                      ↓
                細胞の機能が低下を引き起こします。
                       
                病気が発生する。


  
  ●人の場合、不足すると関わってくるであろうと考えられているものに
   ニキビ、エイズアレルギー、アルツハイマー、扁桃腺炎関節炎、動脈硬化症
   自己免疫疾患、運動障害、狭心症、ガン、痴呆症、アトピー性皮膚炎
   糖尿病、感染症、湿疹、心臓病、高血圧、、魚鱗症、免疫力低下
   乳児の栄養障害、炎症胃腸障害腎臓障害、ハンセン病、白血病
   エリテマトーデス、更年期障害、歯肉炎、硬化症、心臓病、筋肉障害
   神経障害、肥満、妊娠中毒、乾癬、ライ症候群、リウマチ、脳卒中、視力障害
    恐らく、他にもあると考えられています。
    但し、原因のすべてが必須脂肪酸ではありませんので誤解のないように・・。


  ●複数の炎症系疾患に関係することが、お分かりいただけたと思います。
   炎症のみならず、細胞のひとつひとつの細胞壁を守ることによって
   症状を改善することを考えれば、体内システムを正常化しなければ、
   全身の免疫力を上げることは、難しいとも言えるかも知れません。

   人の場合・・・として例に挙げておりますが、多くのニャンコの病気とも、かかわりがある!
   ・・と感じてくださった方も多いと思います。


 この体内システムの重職を担っているのが
   必須脂肪酸から作り出される『生理活性物質』と呼ばれるものです。
   生理活性物質(プロスタグランジン)がかかわることによって
   全身における全ての<炎症>が、コントロールされています。

   以上は全て人の場合を挙げておりますが
   『哺乳類の免疫システム』において違いはありません。
   <ニャンコの病気とも、かかわりがある!?>・・と感じてくださったように。
   ですから・・・キャットフードに取り入れられているのです。

   オメガ3・6が被毛どころか、大変な役割を担っている脂肪であることが
   ご理解いただけたでしょうか・・・。
  


   次の項では、<被毛に大切なオメガ3を・・>とパッケージかかれる理由を
   摂取のバランスが重要とされる部分に着目し、
   オメガ3・6を含む『必須脂肪酸』の内訳について、たどって行きたいと思います。


   ★図解3を見る


 リノール酸とは・・n-6系多価不飽和脂肪酸<オメガω6>

 リノール酸→紅花油 ひまわり油 綿実油、大豆油、コーン油、ごま油、くるみなどに
          多く含まれています。


    ややこしくもなんともありません。 大抵のお宅のキッチンに存在します。

    リノール酸は
    n-6系多価不飽和脂肪酸<オメガω6>に分類される必須脂肪酸です。

  ●主に植物に含まれ、動物はこれを元に 
アラキドン酸、プロスタグランジン、ロイコトリエン
   トロンボキサンなどの生理活性物質を合成し、一部は消炎作用としての
   働きを行います。

   従って、動物は、食物 (植物および肉類) としてリノール酸を摂取しなければ生存できません。

   しかしながら、動物の体内には常に多量に存在し
   健常人では血清中の総脂肪酸の約 5% が、リノール酸と言われています。

  ●適当量のリノール酸の摂取は、血清中のコレステロール値を一時的に下げる働きから
   動脈硬化予防として注目を浴びた時期がありますが、

       低下させる作用が一過性に過ぎない。
       体内の総コレステロール値は低下しない。
       過剰摂取が発ガンを促す。 
                            などの理由から、否定されています。

  ●リノール酸を制限すると言うことは、市販の食用油の使用を控えることです。
   市販の食用油には、リノール酸が多く含まれており
   <リノール酸 → γ-リノレン酸> に変換する酵素<デルタ6デサツラーゼ>と
   <α-リノレン酸 → エイコサペンタエン酸> に変換する酵素が同じである為
   リノール酸の摂取が増えると、その酵素がリノール酸(n-6系オメガ6)の方に働き
   α-リノレン酸(n-3系オメガ3)の方に働き難い事が分っています。


 ??と感じられた方もいらっしゃるでしょう・・・。
   体内合成できない必須脂肪酸にもかかわらず、食生活の変化に伴って
   現代人は既に体内にたくさんのリノール酸が存在していると言われ
   過剰摂取は発がん性を促すとも言われています。

   以前、サプリメントとして注目を浴びていましたが、体に良いからというだけで
   大量摂取することについては賛成できません。
   とは言え、アレルギーなどの症状が、軽減されることを体験していらっしゃる方も
   多いことを考え合わすと、体にとって貴重なものに変わりはありません。


 α(アルファ)リノレン酸とは・・n-3系多価不飽和脂肪酸<オメガω3>

 α-リノレン酸→しそ油 えごま油 あまに(亜麻仁)油などに多く含まれています。
             あまに(亜麻仁)=別名:フラックスオイル、フラックスシード

   動物は、食物 (植物および肉類) からα-リノレン酸を摂取しなければ生存できません。

  ●主に植物に含まれ、動物はこれを元に<n-6系 リノール酸>と同様に
   プロスタグランジン、ロイコトリエン トロンボキサンなどの生理活性物質を合成し
   一部は消炎作用としての働きを行います。
   大きく違うのは・・
炎症系プロスタグランジンを作るアラキドン酸を合成しない点にあります。

   食物中の比率 (α-リノレン酸・リノール酸) を上げると、血栓性疾患、脳梗塞および
   心筋梗塞、炎症、アレルギ、発癌、癌の転移、高血圧などの発症率が
   低下するという報告があります。

   人の健康の増進をはかる際に、食物として摂取する脂肪酸においては
   飽和脂肪酸の量を減らし、不飽和脂肪酸のリノール酸とα-リノレン酸の比率を
    (リノール酸/α-リノレン酸) を 5/1~1/1 の範囲にすると良いと考えられていますが
   前述の厚生省の栄養所要量では、『病気にならない程度』の基準として4/3ですから
   どちらも大雑把?な比率といえるのかもしれません。
   
   ですが、このことはプロスタグランジン(生理活性物質)をどれだけ合成できる能力を
   持っているか・・の個人差が関わってくることですので一概に言い切れないことも事実です。


 要注意? アラキドン酸とは・・n-6系

 アラキドン酸→レバー、卵(特に卵白)、動物性脂肪に多く含まれる。
           体内でリノール酸からも合成される。


  ●動物の体内において
   アラキドン酸は、リノール酸から γ-リノレン酸を経て合成される必須脂肪酸のひとつです。
   しかし、十分な量のリノール酸を摂取しても、体内合成だけでは不十分だと
   考えられています。
   現代人は、必要量の多くを動物性食品から摂取していることから
   アラキドン酸は<広義の必須脂肪酸>です。

   健常人の血清に含まれる総脂肪酸の約 3% がアラキドン酸と、言われています。

  ●アラキドン酸は、神経系、免疫系、生殖系、情報伝達などの多くの生命維持機能に
   深く関与していますが
   過剰摂取は、アレルギー性湿疹、アトピー性皮膚炎の発症
   血小板凝集反応の促進 (血栓形成の促進) などを引き起こします。

   つまり・・・、
   アラキドン酸が<炎症作用>をもたらすプロスタグランジンと深く関わっているということです。

 但し、アラキドン酸がアレルゲンのような反応を起こすというわけではありません。
   ++Part.1++の <被毛=皮膚>にも書きましたが、炎症を知らせてくれる
   大切な働きを担っていますので、ムリな排除は好ましくありません。
   また、血小板凝集反応の促進 (血栓形成の促進)は、簡単に言えば血液の凝固を
   促進するわけですから、アラキドン酸を排除すれば、出血が止まり難くなるという弊害が
   起こります。
   

 ニャンコと必須脂肪酸

 ニャンコは人やワンちゃんと違い・・
  リノール酸からアラキドン酸を合成する力が低くいために
  積極的に食事から摂取する必要があります。


  ●リノール酸が食事中の2.5%を占めていた場合・・
   アラキドン酸は0.04%以上で良いと言われていますが、あくまで目安であって
   個体差は当然ながら出てくることでしょう。。
 
   我が子の体をどれだけ心配して、配分に神経を注いだとしても
   食事で摂取するの脂肪の量を、%の割合までコントロールすることは、現実的ではありません。


   ですが、気になる・・・!
   n-6系(ω6) : n-3系(ω3) = 5~10 : 1   とされています。


 ニャンコたちが『美味い!!!』と味覚で感じるのは
  主に『塩分』であり『脂肪分』です。

  嗜好性をあげるために、各メーカーは『脂肪』と『塩味』を大切に考えているはずです。
  食べてくれることは飼い主にとっての喜びですが、<売れること>と<ニャンコの健康>は
  必ずしも隣りあわせではありません。

  ++Part.1++にも書きましたが
  ●植物性脂肪(油)は、動物の脂肪(脂)より、多くの不飽和脂肪酸を含むため
   より低い融点を持ち、室温で液状を保ちます。

   一方、獣類の脂肪(脂)は、魚類の脂肪(脂)より、多くの飽和脂肪酸を含むため
   より高い融点を持ち、一般に、室温では固形を、
   そして体温では、液状あるいは液状と固形の中間の状態にあります。

  ●いずれにも含まれている不飽和脂肪酸中で、特に高度不飽和脂肪酸は
   非常に酸化され易く、生じる過酸化物は健康にとってに有害です。
   ちなみに、植物油などを加熱すると、その中に含まれる高度脂肪酸は
   容易に過酸化脂質へ変化します。
    
   身近な例を挙げますと・・・
   時間が経ってしまった揚げ物や、古い油を調理に使ったときに経験する『胸やけ』は
   上記の過酸化脂質による弊害です。

   フードにどのような脂肪分が原材料として使われているかによっては
   有害な過酸化資質を摂取している可能性もあり
   そのために脂肪分の酸化を防止しているのが保存料です。

   余談ですが・・
   AAFCO基準に相当する原材料を使用しているナチュラルフードであっても
   ぜひともご自身で試食してみてください。「?!」っと感じる脂臭を感じる事があることを
   体験していただけると思います。


   次の項では、n-3・6系必須脂肪酸が作り出すプロスタグランジン<生理活性物質>の
   詳細に迫ってみたいと思います。
   具体的に炎症にどの様に関わってくるか・・・これが解れば、サプリメント選びが
   容易になると思います。
   手作りフードを心がけていらっしゃる方にも、参考にしていただけると思います。

   ++Part.3++ プロスタグランジンに続きます。